01.About Vitreous surgery

硝子体手術について

眼の構造図硝子体(しょうしたい)は、眼球内部の大部分を満たしている透明なゼリー状の組織です。眼球の形を保ち、中に入る光を屈折させる役割をしています。その後方にはカメラでいうフィルムに当たる部分である網膜があります。

硝子体は若いうちは網膜と接着していますが、加齢とともに液化しながら網膜から剥がれていきます。この現象を後部硝子体剥離と言います。

このように硝子体と網膜には深い関係性があり、この部分に生じる疾患をまとめて網膜硝子体疾患と呼びます。網膜硝子体疾患を目の中から治療する手術が硝子体手術です。

当院では手術は日帰りで行い、硝子体手術が必要なほとんど全ての疾患に対応可能です。

硝子体手術の適応疾患

黄斑上膜(黄斑前膜)

網膜の中心部にあり、形や色を見分ける視細胞が特に密集している部分を黄斑と言います。この表面に異常な膜が形成される病気です。視力が低下する、中心が歪んで見える、ものが大きく見えるなどの症状が出ます。

放置しても失明することはありませんが、進行すると見え方の質が大きく低下するため視力低下や自覚症状がある場合には手術が必要となります。

黄斑円孔

ものを見る中心である黄斑部に穴が開いてしまう病気です。視力低下やものが歪んで見えるなどの症状を自覚します。
発見された段階で早期の手術が必要となります。しばらく放置してしまうと手術をしても視力が出づらくなります。

裂孔原性網膜剥離

網膜に生じた裂け目から眼内液が網膜下に流れ込み、網膜が剥がれた状態です。
治療が遅れると視力が回復しない場合もあるため緊急手術が必要となります。

硝子体出血

硝子体に出血が広がっている状態です。増殖糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性など様々な病気により生じます。

増殖糖尿病網膜症

糖尿病網膜症の最終段階です。新生血管からの硝子体出血や、増殖組織による網膜牽引を生じた際には手術加療が必要となります。

硝子体手術の方法

当院では27Gシステムを使用した極小切開硝子体手術を行なっています。27Gとは、手術に使用する器具の太さを示しており、数字が大きくなるほど針が細く、切開する傷口がより小さくなります。約0.4mm程度の極めて小さな切開で手術が可能です。

手術の手順

硝子体手術図
  • ①手術は局所麻酔で行い、眼球に小さな穴を3-4箇所開けトロカールを挿入します。
  • ②1箇所から眼球形態を維持するための灌流液を流し眼圧を保ちながら、別の箇所から眼内を照らす照明器具や硝子体カッターを挿入し硝子体を切除し吸引除去します。
  • ③疾患に応じて黄斑上膜・内境界膜剥離、増殖膜処理、レーザー照射などの必要な処置を行います。

疾患によっては目の中に空気や長期滞留ガス、シリコンオイルで充填して手術を終了することがあります。ガスが入った場合、手術後にうつむき姿勢をお願いすることがあります。

02.Anti-VEGF drug therapy

抗VEGF薬治療

抗VEGF薬注射

VEGF(血管内皮増殖因子)という物質が関与する病気に対し、抗VEGF薬というVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射する治療です。

当院ではアイリーア(2mg、8mg)、バビースモ、ベオビュ、ラニビズマブBSを病気の種類や状態に応じて使い分けています。

(治療対象となる疾患)
  • 加齢黄斑変性
  • 近視性脈絡膜新生血管
  • 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
  • 糖尿病黄斑浮腫
  • 血管新生緑内障